冬に咲くヒマワリ



最初からわかってた。


『子供は嫌いだ』
そう言ってた彼が、この子を育てる気がない事くらい。

だから覚悟は出来てた。



なのに
どうしてだろう。

この虚無感は、どこから来るの?



二人で過ごした部屋に、彼の服が散らばって
あたしは涙を堪える。


読み散らかした漫画、出しっぱなしのゲーム機。

色褪せたカーテンは
夜の風にはためきながらゆっくり揺れて。




『ずっと、一緒に居ような。世里菜。』

始めに言ったのはあなたなのに。


やっぱり、約束も守れない男だった。




「あーぁ、バカみたい。」

呟いた独り言が
小さなアパートに寂しく消える。




…泣いたりなんて、しない。

絶対に、泣くもんか。


唇を噛み締めて
あたしは荷物をまとめ始めた。




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