冬に咲くヒマワリ
「バカじゃん。」
あたしの言葉に
沙映は小さく頬を膨らませる。
あたしに笑い掛ける菜々美の頭を撫でて、再び沙映を見ると
「バカなのは、恭平だもん。」
ややふてくされ気味の彼女はミルクティーを乱暴にかき混ぜた。
「いや、沙映もバカ。」
溜め息と共に煙草の煙を吐き出してダメ押しで同じ事を告げる。
この片田舎にしてはおしゃれなカフェの片隅で、ただでさえ小さい沙映は身を縮こまらせて俯いていた。
「てかさ、そんなん無視して会いに行っちゃえばいいんだよ。」
事の始まりは、あたしの唯一の友達、沙映と彼の話だった。
遠距離中の沙映と彼。
今度会いに来る予定だったのに、彼の仕事の事情で急遽来れなくなったのだという。