冬に咲くヒマワリ


そして菜々美を腕に抱えながら言った。


「あたしも東京行くからさ、一緒に行けばいいじゃん。」

「え!?世里菜、東京行くの!?」



過剰に驚いた沙映に

「いつまでも親に頼ってらんないしさ。こんな田舎じゃロクな仕事もないし、いっその事東京でお水でもしようかなって。」

そう言って笑い掛ける。



東京に行く事は
少し前から考えていた。

親にずっと頼ってちゃいけない、そう思っていたのも確かだけど
この町を離れたかったのが本音。



「…そっか…。」

と、少し悩みながらミルクティーを飲んだ沙映は


「…じゃあ、行こう…かな…。」

躊躇いながらも、どこか決意した様子であたしに視線を向けた。



「うん。そうしな。あたしも東京で頑張るから。」


菜々美の為にも
自分の為にも。

あたしは強くならなければならないんだ。




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