冬に咲くヒマワリ


かと言って、具体的に上京の事を考えていた訳じゃない。

ただ、あたしをこの町から離れる口実を作りたかった。



沙映が彼に会いに行く、というのをきっかけにあたしはやっと決心を固めて

その夜、親に東京で生きていくと告げた。



もちろん、親は大反対。


『子供は見ててあげるから、こっちで仕事探しなさい』だとか

『あんたが一人でやっていける訳ない』だとか

散々言われたけれど
それじゃダメなんだよ。



それじゃ、あたしはいつまでたっても
一人立ち出来ない。

この子の為に
あたしはちゃんとした
『母親』でありたいんだから。




…ねぇ、菜々美。

あなたを、ちゃんと幸せにしてあげる。


父親が居ないから、そんな事で菜々美に寂しい思いはさせたくない。



ちゃんと、あなたの
『母親』になるからね。




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