冬に咲くヒマワリ
「よく、出来ました。」
「……っもう!からかわないでよねっ!」
あたしにしては上出来だと思う。
自分からキス、なんて今まで誰にもした事なかったから。
愛されてこそ、女は輝くものだと思ってた。
だけどそれは違う、と教えてくれたのはあなた。
愛し、愛されてこそ
女は『女』になれるのかもしれない。
だから――――…
「ヒロくん!」
玄関を出てマンションの廊下を歩き出したヒロくんを呼び止めた。
そして駆け寄ったあたしは
「ちょっと、屈んで?」
そう言って菜々美を抱えたまま彼の前に立つ。
「何?」
「いいから!」
不思議そうに首を傾げたヒロくんはそのまま少しだけ屈んだ。
そんな彼にあたしはさっきよりも長く、キスをする。
あなたに、愛を込めて。
「いってらっしゃい!」
キスを贈るから。
【I love ME】 fin,