冬に咲くヒマワリ



「よく、出来ました。」

「……っもう!からかわないでよねっ!」


あたしにしては上出来だと思う。

自分からキス、なんて今まで誰にもした事なかったから。




愛されてこそ、女は輝くものだと思ってた。

だけどそれは違う、と教えてくれたのはあなた。




愛し、愛されてこそ
女は『女』になれるのかもしれない。


だから――――…





「ヒロくん!」

玄関を出てマンションの廊下を歩き出したヒロくんを呼び止めた。


そして駆け寄ったあたしは

「ちょっと、屈んで?」

そう言って菜々美を抱えたまま彼の前に立つ。



「何?」

「いいから!」

不思議そうに首を傾げたヒロくんはそのまま少しだけ屈んだ。


そんな彼にあたしはさっきよりも長く、キスをする。




あなたに、愛を込めて。


「いってらっしゃい!」



キスを贈るから。





【I love ME】 fin,



< 155 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop