冬に咲くヒマワリ
肌を撫でる都会の風は
このままここに居ると何だか自分が汚れてしまう気がする。
恭平の隣で浴びてたあの太陽も、緑が香るあの風も全部、恭平が居なければ意味がないの。
「…恭平…。」
四角い空に、愛しい名前を呟く。
そんな時、どこかから遠く聞こえてきた話し声。
あたしは顔を横に向かせる。
シワ一つないスーツに、ほんの少し伸びた髪。
「恭平っ!」
見慣れない、だけどどこか懐かしい横顔。
あたしはつい、夜だという事も忘れて優しい横顔に呼び掛けた。
「…沙映?何やって…。」
堪らずにパンプスを鳴らして恭平に駆け出した。
「あのね、あたし…、」
カツン…、と静かに鳴るヒールの音。
だけどそれはあたしのパンプスの音ではない。
細い道を隔てた恭平とあたし。
足が、止まった。