冬に咲くヒマワリ


嘘つき、嘘つき。

大嘘つきっ!



「沙映!!!」

恭平の声を背中に聞きながら、あたしは走り出した。

初めて見る道。


当たり前だ。
ここは東京で、恭平と出会った場所じゃない。



右も左もわからない土地で、とにかく走った。

精一杯に唇を噛んでみるけど、涙は後ろに流れてゆく。



『沙映。』

恭平の優しい呼び声が耳の奥でこだまする。

その時、ガクンと膝が落ちてあたしはその場に転んでしまった。

「…ったぁ…。」


月は雲に隠れ、外灯が照らす細道で乱れるあたしの呼吸だけが響く。

ふいに座ったまま振り返ってみるけども、そこには人の影さえ見えなくて
涙はまた頬に流れた。



…追い掛けても来てくれないんだね。



もう、これで終わり?

終わりなの?
恭平……。



「………っ!」



心が、潰れるような痛みを感じた。




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