冬に咲くヒマワリ
そんな時。
両手で頬杖をついて
一人妄想にふけるあたしに、テーブルに置いてあった携帯電話が激しく揺れた。
あたしは素早く携帯を開いて通話ボタンを押す。
焦ってつい、耳に掛かった髪の上から携帯を添えてみたけれど
聞こえにくい事に気が付いてすぐに髪を押し上げ、耳に携帯をあてた。
「もっ、もしもし!?」
『もしもし?沙映?』
沙映(さえ)、と呼ぶ彼の声があたしの鼓膜を刺激する。
名前を呼ばれただけなのに、こんなにも幸せな気持ちになるのは
どうしてなんだろう?
『何か慌ててたみたいだけど、大丈夫?』
「だっ、大丈夫!全然大丈夫!」
『そう?ならいいけど。』
ふふ、と電話越しに聞こえる彼の笑い方に
あぁ、変わってない。なんて思ってあたしはまた安心する。