冬に咲くヒマワリ


何も言わずにただ黙り込んでいたら
突然、ふわりと視界が覆われた。

「…だけど、嬉しかったよ。」




抱き締められてる、と気が付いたのは
恭平の声が耳元に聞こえたから。


「沙映。俺に、何か言いたい事あるでしょ?」

そう言って体を離した恭平は、あたしに視線を合わせるように少しだけ屈む。

視界に広がる、恭平の優しい笑顔。



ポタン、と地面に涙が落ちた。

「…あ、あたし…、」

「うん。」

「ずっと…、さ、寂しくて…っ。」

「うん。」

ポツリポツリと言葉を繋ぐあたしに、恭平は優しく覗き込みながら相槌を打つ。



「…恭平、に…会いたくて……、なのに、恭平は会いに…来て、くれなくて……っ。」

「うん。」

「悲し、くて…、あの人に…っ、恭平を取られちゃった…って…。」




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