冬に咲くヒマワリ
「遠距離!?」
「あぁ。健気だよなぁ。」
なんて呑気に煙草をふかす俊介を無視して、あたしは立ち上がったその足で喫煙室の扉に手を掛けた。
「おい、まだ昼休み終わってねぇよ?」
「もーあんたじゃ話にならない。自分で言うわ。」
「え、おい!玲!」
バタンと扉を閉じて
ガラス張りの廊下にパンプスを鳴らして歩く。
遠距離恋愛?
笑わせないでよ。
じゃあ尚更、合コンを断る理由なんてないじゃない。
大体今時、彼女が居たって合コン来るのが普通でしょ!
煮え切らない気持ちを抱えて社員食堂を見渡す。
…居た。
「五十嵐くん。」
声を掛けると、彼はすすっていた蕎麦を口から少しだけ出したまま振り返った。
「隣、いい?」