冬に咲くヒマワリ
「玲!!」
廊下に響く、俊介の声。
そして肩を掴まれて
あたしと俊介の視線がかち合った。
「お前、本気なのか?」
「本気よ。当たり前じゃない。」
力強いまなざしで俊介を見返す。
「冗談言うなよ。相手は彼女が居るんだぞ?」
「……それが何?そんなの、あたしには関係ないし!」
俊介の手を振り払い、あたしは先を急いだ。
だけど、すぐに俊介に腕を掴まれる。
「離して!もう仕事に戻りなよ。」
「…玲、よく聞け。」
いつもの俊介とは違う、真剣な瞳。
通り過ぎる社員達が、物珍しそうに視線を向けてくる。
傍から見たら、カップルの痴話喧嘩だ。
それでも、俊介は気に止める様子もなく、あたしに言った。
「誰かが不幸になるってわかってて、手に入れた幸せなんて、本当の幸せとは言わねぇ。」