冬に咲くヒマワリ


揺れる俊介の視線が真っ直ぐにあたしに問い掛ける。


「玲は、五十嵐の彼女を傷付けてまであいつと付き合いたい?」

ズキン、と胸が音を立てた。



「それって、五十嵐が最も悲しむ事なんじゃねぇの?」

「……………。」


あたしは俊介から視線を逸して床を見つめる。

怖かった。
俊介の真っ直ぐすぎる視線が、あたしに痛いほど突き刺さって。




だけど―――…


「なぁ?玲、」

「うるさいなぁ!もう放っといてよ!」


自分でも驚く程、大きな声が出た。

それでも、あたしはもう戻れない。



純愛?一途?

そんな言葉、この世にある訳ないじゃん。



あったら、誰もきっと傷付かない。

そうでしょ?




「綺麗事言わないでよ!正論ぶって、あたしの心の中まで入って来ないで!」



< 53 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop