冬に咲くヒマワリ


他愛もない会話をしながら、恭平くんが歩く方向へあたしもついて歩いて行く。


「もうすぐなんで。着いたら外で少し待っててもらえますか?俺、DVD持って来るんで。」

「うん、わかった。」


それから後の事は
あたしの経験上、簡単な嘘で突き通せる。

お腹が痛くなったとか、気分が悪くて…と言えば大抵の男はこう言うの。


『上がってく?』



そうなれば、もうこっちのもんだ。


ちらっと視線を上げると恭平くんの横顔が月明りに照らされて
長い睫毛に影が出来る。

そんな彼の横顔に見とれていると

「あ…っ。」

パンプスに付けられた足首を留めているボタンが外れた事に気が付いた。



「…どうかしました?」

「ちょっと、ボタンが取れただけ。先に行ってていいよ。」


そう言って座り込むとあたしはボタンを再び穴にはめる。




そんな時

「恭平っ!」

と可愛いらしい声がどこからか聞こえてあたしは顔を上げた。




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