冬に咲くヒマワリ


……もしかして、この子が?



あたしはもう一度彼女を見た。


眉毛の上で綺麗に揃えられた前髪に、ちょうど鎖骨辺りまで伸びた茶色の髪を二つに結んでる。

可愛いらしい膝丈のシフォンスカートに、七分のTシャツを合わせて恭平くんを真っ直ぐに見つめていて。



だけど、今にもこぼれそうな涙を必死に耐えていた。


そして次の瞬間、

「嘘つきっ!」

と恭平くんに叫んだ彼女はあたし達の前を通り過ぎて走り去った。



「沙映!!!」

そんな彼女を追い掛けようとした恭平くんも走り出す。



「恭平くんっ!」

あたしは咄嗟に彼の腕を掴んだ。



『玲は、五十嵐の彼女を傷付けてまであいつと付き合いたい?』

俊介の言葉が反芻してあたしに訴えかけてくる。



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