冬に咲くヒマワリ
だけど
あたしはもう――…
「すいません、あいつ俺の彼女なんですっ!だから、追い掛けないと…!」
「行かないでっ!」
恭平くんの言葉を遮ると彼は戸惑いながらあたしに目配せした。
…後戻り、なんて。
もう、遅いんだよ?
「好きなの、恭平くんの事。」
掴む手に力を込める。
「好きなの、本当に。」
そして潤んだ瞳を向けてもう一度、そう告げた。
「…俺、は……。」
「わかってる。彼女の事傷付けたくないんでしょ?」
俯く恭平くんの首元に、あたしはそっと腕を絡ませる。
「でも、大丈夫。そんなの、すぐに忘れられるから。」
忘れさせてみせる。
あたしは、あなたが欲しい。
…喉から手が出る程に、ね。
月明りの下、あたしは彼の唇に自分の唇を近付けた。