冬に咲くヒマワリ


だけど、それは触れるか触れないかの直前で
恭平くんの手があたしを止めた。

首に回ったあたしの腕を彼は躊躇いながらも解いてゆく。



「…どうし…、」

「俺は、あいつじゃなきゃ…沙映じゃなきゃ、ダメなんです。」

地面に向けられた言葉と視線が、ゆっくりとあたしに届いた。


通り過ぎる車の音が
遠くから聞こえて、あたしは我に返る。




ちょっと、待ってよ。

「…じゃあ…あたし、フラれる…の?」

「……すいません…。」

そう言った恭平くんは踵を返し、彼女が消えた道のりを走り出す。

だけど突然思い出したように振り返った。



あたしはただ、そんな彼を呆然と見つめる。


「俺、瀬宮先輩の事好きですよ!」

「…え?」


掠れた声で聞き返す。




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