冬に咲くヒマワリ


いつ落ちたのかわからないカバンを拾い上げ、パンパンと埃をはたくと携帯が鳴り響いてあたしを呼んだ。


カバンの中を漁り、携帯を取り出すと

「…もしもし?」と特に相手も確かめずに通話ボタンを押す。



『玲?』

「…俊介…?」

携帯を鳴らした主は
俊介だった。



『お前、今どこ?』

「え?あ、んっと…。」

携帯を耳にあてたまま辺りを見渡してみる。

だけど目印になりそうな物はなくて、とりあえず

「N町のコンビニの近く…。」

と、来た時に最後に通り過ぎたコンビニの名前を告げてみた。


『わかった、ちょっと待ってろ。』

「え?ちょ、俊介?」

そう言って切れた携帯からは、無愛想なツーツーという機械音。




…何なの?あいつ。




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