冬に咲くヒマワリ
だけどそれは、どうやら玲のお怒りに触れる言葉だったらしい。
「俊介に、あたしの何がわかるの?」
鬼のような顔をして、俺を睨み付けた玲は
「何にも知らないくせに偉そうな事言わないでよね!」
そう言って乱暴に資料を俺に押し付けて事務所を出て行ってしまった。
…あーぁ。
もう、何だかなぁ。
コピー用紙が切れた機械がピカピカと光り、用紙を補充しろと俺に訴えかけてくる。
7月はもうすぐ終わりを告げようとしていて
ブラインド越しの太陽が燦々とこの世界を焦がしていた。
…玲を好きだと気が付いたのは、一体いつの事だったか。
気が付けば目で追っていて、あいつが新しい彼氏を紹介してくれる度に、何故か心が痛くて。
知らない間に、玲は俺の心のど真ん中を陣取っていた。
好きだと気が付いた時には、もう遅かったんだ。
あいつはそう思っていなくても友達、って関係は既に肯定されていたんだから。
それを壊して、あいつをさらう勇気なんて
もう、俺にはなかった。