冬に咲くヒマワリ



この10年間、俺は玲だけを見つめてきた。

そりゃ、その期間彼女が居なかったって訳じゃないけれど
それでもやっぱり、俺の心は玲に向かれていて。


どんな美人も、どんなスタイルがいい女も
玲、お前には敵わねぇんだ。



「なぁ?玲、」


そう言ってもう一度、覗き込むと、潤んだ瞳で顔を上げた玲は

「うるさいなぁ!もう放っといてよ!」

と再び俺を睨み付けた。



「綺麗事言わないでよ!正論ぶって、あたしの心の中まで入って来ないで!」


吐き捨てるように言った玲は、掴んでいた俺の手を振り払い、その小さな体で駆け出して行ってしまった。



ジンと痛む、払われた俺の手。

だけど、もっと痛いのは心だった。




「…綺麗事、か。」

確かに、そうかもしれない。



だけど―――…




ダン!っと壁に拳をぶつけて俺は小さく息を吐いた。


願う事はただ、一つ。




君に、幸せになって欲しい。




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