冬に咲くヒマワリ
居酒屋の外に出ると
7月の生温い風が、酒でほてった俺の頬をふんわりと撫でた。
「んじゃ、行きますか!」
心の中は冷めきっているのに、本当は楽しくなんかねぇのに。
どうして、俺は笑ってんだ?
玲に、会いてぇなぁ。
…今頃あいつは、五十嵐と…。
そんな事をぼんやりと考えながら、みんなの輪から少し離れて歩く。
耳障りなクラクションが響く歩道橋で
俺はふいに視線を下に向けた。
……あれ?五十嵐?
そこには、東京という街を猛スピードで駆け抜ける五十嵐が居て。
「五十嵐っ!!」
無意識に五十嵐の名前を叫んでみたけれど
それは車が走る音にかき消され、あいつには届かなかった。
つーか、玲は?
やけに冷静な頭でそう考える。