冬に咲くヒマワリ


「おい、俊介。」

どうした?と尋ねてきたヒロは、俺の様子に何かを感じ取って輪から外れ、戻ってきた。



玲、あいつ…っ!



「わりぃ、ヒロ!俺、用事出来た!」

「はぁ!?お前がカラオケって言い出し…っておい!俊介っ!」


ヒロの言葉に振り向かずに歩道橋を降りる。


あちこちから照らす車のライトの中から、

「すいません、乗りますっ!」

そう言ってタクシーを停めた。



「ちょっと適当に走って下さい!」

意味わかんねぇ事を運転手に告げて、俺は携帯を開いた。



もちろん、掛ける相手は玲。


長いコールが鳴り響き、プツリと電話越しに風の音が聞こえる。



「玲?」

『…俊介…?』


心なしか、あいつの声が震えてる気がする。




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