冬に咲くヒマワリ


五十嵐、という名前に
玲の顔が曇ったのがわかる。



ほら、だから言ったじゃねぇか。

ったく…。


俺はワイシャツのカフスを外し、ポケットにしまうと溜め息混じりに玲を見る。

「…何かあった?つーか何かあっただろ。」

「何よ、つーかって。」

「んだよ。心配してんだろー?」

「そんな事、頼んでないしっ!」


ぷいっと顔を逸して、俺に背を向ける玲。



本当、こいつは素直じゃねぇよなぁ。

まぁ、そんな所も好きなんだけど。
やっぱ俺ってバカ?



だけど玲はポツリ、と呟いた。



「だけど…。」

話を切り出した玲の背中が細く揺れる。


「…ありがとね、俊介。何か、少し元気出た。」


そう言った彼女の声が
俺の心を掴んだ。




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