開運☆紅水晶
と同時に、肩にずしっと重みが加わる。

精霊が私の肩の上に腕を乗っけていた。

後ろから私を経て前に腕を伸ばしているので、まるで抱きつかれているような格好になる。

体同士もなかなか密着して、私の背中に奴の体がへばりついている。

落ち着かないなぁ。

でも手と同じく、体にもヒヤッとした気持ちよさ。

あーこれは夏には結構いいかもしれない。

冷えピタ代わりになりそう。

慣れたら快適かな?

……ちょっと。

ちょっと自分。

なんか流されてるよ、雰囲気に!

こいつは自称精霊。

慣れるつもりなんてないからね。

「あのさぁ…どいてよ」

鬱陶しげに言うと、そいつはアハハと笑った。

「でも僕、お役に立てたのでしょう?」

それを言われてグッと詰まる。

確かに…この人のお陰でインタビュー行けたのは、確かなんだよね。

「…えっと」

言いよどんだ私に、耳元でそいつが言う。

「こういう時は、何ていうんですか?」

冷たい吐息が私の耳をくすぐる。

なんだかくすぐったくて、身をよじるけど

彼の長い腕に捕えられて動けない。

「ほら」

と急かされて

「…あ…ありが、と」

喉から声を絞り出す。

そいつは満足げな顔で

「光栄でっす!」

と笑って私から離れて1回ターンした。
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