開運☆紅水晶
草木がない場所に出る。

真夏の山奥なのに、そこは何故か涼しい。

冷たくて澄んだ風が吹いている。

「あー涼し…生き返るー……」

そう呟くと地面に座り込んだ。

石が敷かれた地面は冷たくて、ズボン越しに気持ちいい冷気が伝わってくる。

疲れた。もう凄く。

でも、やっぱりココ好きだなぁ。

この場所は最近パワースポットだとか騒がれ始めた。

しかしそれよりずっと前、子供の頃に私はココに毎日居たんだ。

夏は涼しいし、冬はなぜか暖かい。

そんなココは、チビだった私が散歩に来て昼寝をして帰るにはピッタリだったんだ。

……なんだか昔よりも今の方が、来るだけで体力を消耗している気がする。

ぜんぜん運動してないからな、私。

まだ整わない息を深呼吸でなんとか押さえつけながら立ち上がり、回りを見回した。

今日は仕事なんだから、インタビューしなければいけない。
< 2 / 13 >

この作品をシェア

pagetop