極上笑顔の上司

あぁ、綾菜だったら
独占してほしい。

なんて思ってしまう・・・

あぁ、そうか。
なんて鈍いんだ。僕は。

僕は、こんなにも

綾菜に、ひかれていたのか。



「うん。
 独占していいよ。
 だから・・・」



僕は
会社の前で、人通りの多いことも忘れて
綾菜を引き寄せた。


今思えばやりすぎだったと反省はするよ?


でも、
その時は気持ちを伝えたくて。



「きゃ、海・・・人部長ぅっ!」


「一緒に、そばにいて。」


この気持ちを「愛」と呼ぶには幼くて
「恋」と呼ぶほど純情ではなくて。

「綾菜?」
「はっ・・・は、い?」

「それは、返事?」

まぁいいや、と思って 綾菜に にっこり笑って
キスを落とした。



もちろん、
そのあと綾菜に すっごい 怒られた。
あぁ、でもきっと 僕は
この人とともに、
一緒にいたいんだ。


「ねぇ、綾菜。
 一緒に、いてくれる?」


甘く、出来るだけ丁寧に
言葉を紡いで、
彼女に話しかけるのだった。







***


おしまい


***
< 146 / 148 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop