極上笑顔の上司
ふと、
その人だかりの中から香川君が
「あれ?
綾菜さんは帰るんですかぁ?」
軽い足取りで
近寄ってきて、
私の肩を抱き寄せた。
思わず
払うように一歩下がるけど
二次会行きましょうよーー
とか言いながら、
私の腕を取る。
うーーん。
酔っ払いだわ。
香川君のこの
屈託のない感じが好感を持てるんだけど
ボディタッチはちょっと苦手。
ほら、
何っていうの、
二の腕の脂肪分も気になるしね?
利理ちゃん曰く、古風な女だからね?
「カラオケ行きましょうよ。
俺、綾菜さんの声聞きたいし~」
ニッカリと
歯を見せて笑う。
手はしっかり
捕まっている。
「どうしようかなぁ。
利理ちゃんも帰っちゃったし。」
うちの部署は女性が少ない。
利理ちゃんと私と
もう少し先輩が2人いるけど
主婦なのでもう
一次会の途中で帰ってしまった。