極上笑顔の上司

いつもニコニコの海人部長が
ちょっと怒ったように、

「香川っ!」

と強めに部下を呼びつける。

よっぱらいこと香川君は、
はいっとシュッと立つ。


「強引なのは、
 仕事だけにすること!
 
 今のは、高梨さんにとても失礼だろ?」

はぁ。とため息交じりに
海人部長が香川君を叱りつけた。

いっきに酔っ払い香川君の顔が青ざめて直立不動。

そりゃそうだ。
海人部長が叱りつけることはあまりない。

牧瀬さんも
驚いたようにそばにたたずむ。

私が怒られたわけでもないのに
ドキドキと挙動不審になる。

香川君が泣き入りそうな声で「すいません」とつぶやいた。


ちょっと間があって、
いつものようにニコリと笑って、

「では、香川。
 
 あちらの女性たちを含む、二次会において、
 しっかりと盛り上げること。」

「はっ。はい!!任せてください!」



「牧瀬。香川が飲みすぎないように頼むな?」

「はい。部長。
 すいません。」

牧瀬さんは、海人部長にニコリと笑顔を返して
香川君の後に続いた。



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