極上笑顔の上司

***

*****

「柳田さんっ!」

「あ、高梨ーーいえ。
 綾菜さん。」

柳田さんは、
白髪交じりの頭を深々と下げる。

私もつられて、
深々と「こんにちわ」と頭を下げる。


私が綾菜でいいって言ったの覚えていて
律儀に言い直すあたり
すごいな。


「あっ。
 あの、
 先日はありがとうございました。」

「いえ。
 私はただ運転しただけでございますから、
 お礼でしたら、海人様にーーー。」


「はい。部長にもしっかり伝えました。
 それで、
 私が買うついでだったんですけど、
 よかったらどうぞ?」


どっちがいいですか?
といいながら、
そこの販売機で買った、
ヨーグルトアロエジュースと
フルーティ紅茶と
アイスコーヒーを差し出した。

柳田さんは少し戸惑ったけど、
「せっかくですので。」

と言って、
フルーティ紅茶を取った。

「ふふ。
 やった。」
嬉しくなった。

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