極上笑顔の上司
左肩にふわりと
香川君のぬくもりが伝わって、
ちょっと居心地が悪くなる。
ふいにボディタッチされるのとか
距離感を詰めたりされるのは苦手。
警戒してるわけじゃないんだけど
心配してくれているわけだし。
でも、その肩に置かれた手はちょっと居心地が悪い。
「あ・・大丈夫だから」
手を振り払おうとしたとき
私の手ではない
手が
ぱしっと香川君の手を払ってくれた。
「あー、香川。
セクハラかぁ?」
「ちっ。違いますよ!牧瀬さんっ。
綾菜さんが具合悪そうだったからっ。」
「そうなのか?大丈夫か綾菜ちゃん?」
牧瀬さんが
心配そうに顔をのぞきこむ。
「あはは。大丈夫ですよ?」
牧瀬さんはよく人を見ていると思う。
きっと、
今も私が香川君のボディタッチが
嫌だと感じたから助けてくれたんだと思う。
「ほらー、香川がセクハラするから
綾菜ちゃん元気ないじゃん?」
「え?!!俺、セクハラでしたか?!」
「うーん。そうね。セクハラかもね?」
あはは。と、冗談交じりに返す。