命の足音【短編ver.】
「てんめぇ……」
眉間に思い切り皺を寄せ、ぐっ、と拳を握る土方さんは、やっぱり変わらなくて、面白くて、思わず笑ってしまう。
その時、丁度カラッと障子が開き、湯呑を二つ持った桜が入ってきた。
僕達の様子を見た桜は、一瞬目を見開き、何かを察したのかクスクスと笑う。
「総司、また土方さん怒らせたの?」
「違うよ。土方さんが勝手に怒っただけ」
「それ、嘘だよね?またからかったんでしょ。なんかすごい殺気が飛び交ってるけど?」
桜はゆっくりと障子を閉めると、土方さんの隣に正座して湯呑を手渡した。
土方さんは、不機嫌な顔をしながらも、桜と目を合わせる。
「……桜もこんな奴の側によくいれるよな。我が儘しか言わねぇだろ」
「あはは、その通りです。うるさくて困りますよ」