命の足音【短編ver.】
一瞬悪い予感が脳裏をよぎったが、そんなはずないとかき消した。
きっと今頃、新選組の局長として、隊を仕切っているはずだ。
悪い予感なんて考えたくもない──。
「変わらず元気なのでご安心下さい、と伝えてもらえますか?」
「……そうか。分かった、間違いなく言っといてやるからな」
そう言い、ほんの少しだけこちらを向いた土方さんは微笑んでいた。
「じゃ、またな。総司」
「はい。必ず戻るので、僕の枠空けておいて下さいね?」
「当たり前だ」
微かに笑った、その土方さんの背中は、やがて僕の視界から消えた。
……生きる、生きたい。
浅葱色の空の下、あの旗の元に再び立てる日まで。
終わり