命の足音【短編ver.】



“死”という暗闇の未来へと突き落とされるのは、そう遠くない未来であろう。


──戦えない自分は無力だ。


怒りと、嫉妬と、悔しさと。


様々な思いが自分の中で葛藤し、ねじれて絡まり、真っ直ぐな一本線になることは最期までない。少し前までの僕はそう思っていた。




「……じ、総司?」




ぼんやりとしていた僕の耳に、あの子──桜の声が入ってきた。


いつの間に座っていたのか。


ハッとして目を見開くと、そこには僕の傍らに正座をし、箸で粥をつまんでいる桜の姿があった。




「考え事?ぼーっとしてるみたいだけど……」


「……ごめん、桜。大丈夫」


「食べれそう?」


「うん」




ほんと?と言いながらも、僕の口に粥を運んでくれる桜。



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