形なき愛を血と称して
「好きだよ、と言ったら、君は信じてくれるかな」
「……、え、ええぇ!ま、間違いですよ間違いです!わ、わわ、私、こ、こんなだしーーひゃあ!」
「そう全否定されると、嫌でも信じ込ませたくなるねぇ」
抱き締める。
足元に置こうと思ったが、足元にいては抱き締められない。
何よりも、こんなにも純粋な愛を前にはひたすらに優しくもしたくなる。
小さな悲鳴は、小さな身じろぎへと変貌する。
体の熱がどんどん上昇するのが、肌から感じられた。
「しばらくと言わず、ずっとここにいるんだ。いいね?」
「は、はい」
戸惑いながらも、リヒルトがそう言うなら従う従順さがぬけ切れていないトトでも、背に回された腕にリヒルトは十分だと目を瞑る。
夢でないことを確かめるように、その体を抱き締めた。