形なき愛を血と称して

きっかけは、ある人種を呼び出してしまった時。

それは、人間の血液を欲する化け物。
黒い羽を持ち、人語を理解し、人とそう変わりない姿の知性ある化け物がカウヘンヘルム家に転機を与えた。

その化け物の吸血行為には、快楽が付属される。これは単に、痛みにより獲物(人間)が暴れるリスクを消すためのことであるが、化け物自身もこの仕組みを理解しているわけではなかった。

食べ物を食べたら唾液が出る。そういった類の生理現象をいちいち思索する奴はいない。

しかして、狂ったカウヘンヘルム家は違う。

何かに使えるーー金儲けの手段となり得ると、探求の引き金となった。

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