春河家は今日もドタバタです。
「いつまで困らすのですか?尚澄。」
清澄の声だった。冷静な口調で話しているが明らかに怒っているその声。しかし、尚澄はクスッっと笑うと「清澄兄さんこそ。」と平然とした口調で返した。
「どういうことですか?」
「僕がこうしている理由、わかってるでしょう?」
電話越しで不敵な笑みを浮かぶ尚澄。その横で、タバコに火をつける涼香。そして煙草を銜えながら「何が?」と不適に笑いながら答える。
「何がって~、とにかく男同士、一度酒を交わしながら話しようよ(笑)」
「あんたと飲んでると酒がまずなる。」
そういうと、涼香は通話終了のボタンを押すのだが・・・
「何でいつもすぐ切っちゃうかな。」
涼香のすぐ後ろから聞こえる声。振り返ると、そこに祇儀と清澄、そして緑涼達が立っていた。
「僕達と直接話したいんでしょ?いい機会だから色々話そうよ、涼香君。」
「はぁ?俺は、話なんてしたないねん。その面下げに来いっていったんやけど(怒)」
「謝るのは涼香君のほうだと思うけどな~?」
一触即発の状態がそこにあった。
薄暗い船内でにらみ合いを続ける彼らの間に大きな境界線が出来ていく。しかし、一瞬の隙がその境界線をつぶしていく。