春河家は今日もドタバタです。
「はぁ・・・マジ、めんどくせぇ。」
男の周りを取り巻く黒い蝶。それが身体に纏わりついて離れない。
「せっかく地獄から戻ってきたのにさ、またこいつらを目にするなんて・・・。」
「そう?久しぶりね、朔耶(さくや)君。」
仮面を外した虎黎のその言葉に「カマ野郎・・・。」とすべてを諦めたような口調でその場に座り込んでしまった朔耶。すると、その姿は、人から黒い小さな物体に・・・。
「やっぱあの時のくそ犬じゃん、お前(笑)」
「犬じゃねぇ!狼だ!!」
同じく仮面を外した弦龍に首根っこを捕まれ、どうすることも出来なくなった朔耶はじたばたするだけだった。ちなみに弦龍の反対の手には襟元をがっつり捕まれた光が・・・。
「みんな捕まっちゃった。」
「言ってるお前もな。」
タバコの匂いを纏った腕が、尚澄の両手を封じていく。
「胸元の菓子、朱雀屋の金平糖だろう?」
「そ、そうだけど・・・。」
「あそこの菓子は結構人気だもんな、並ばねぇと買えないくらい。」
「そ、それはちゃんと・・・(焦)」
「本当か?この前、店のおやっさんが“店中の菓子が無くなった”って言ってたぞ(笑)」
「疑ってるんですか?僕を。」
「さ~(笑)」
広重はそう言いながら、その場に尚澄を座らせるのだった。