春河家は今日もドタバタです。
パンっ!!
「何日も飯を食っておらんようじゃな。軽い脱水症状も見られる。何があったかはあえて聞かんが、しっかり飯を食わんと。」
凛香はそう言葉を吐き捨てると、今度は椿の額に手を当てる・・・
「椿・・・。」
「・・・。」
無言で誰とも目をあわせようとしない椿を見て、凛香はどう口にしていいか判らなくなる。
数十秒、凛香の思考が止まる。そして、再び動き出した思考が出した答えは・・・
「椿、みんなを信じろ。」
その一言だった。
「そろそろ回診の時間じゃ。」
そういうと、凛香は急いで階段へと向かっていく。そして、階段を下りようとした時のことだった・・・。
「簡単に忘れることは出来ない。だけど、それを消すくらいの楽しいことをたくさんある。だから、楽しいことをたくさん覚えればいいのじゃ。それが出来るのは、椿自身とこいつらだけじゃ。」
そういい残すと、凛香は慌てて階段を下りていった・・・
「楽しいこと・・・」
椿は小さくそうつぶやく。それを聞いていた蓮流は、にこっと笑いながら「そうだね。」とささやいた。