春河家は今日もドタバタです。
「入りなさい。」
死んではじめてみた光景。
長い階段を上がって、赤い絨毯の廊下を歩いた先の大きな木の扉。その前には刀を持った鬼。
その鬼に呼ばれて入った先にいたのは・・・
「ぁあ・・・・。」
あの日、追いかけていた背中の持ち主だった。
「祇・・・儀・・・さん・・・。清・・・澄・・・さん・・・。」
「お疲れ様(笑)」
「元気になりましたね(笑)」
涙が止まらなかった。
うれしくて止まらなかった。
気がつくと、俺の身体は30代ぐらいになっていた。
「おいおい!泣くなって!俺が泣かせたみたいじゃんか!」
「そうですよ。どうされたんですか(笑)」
本当はそこで、俺の人生を振り返って死んだ後のことを決めていく。でも、俺の場合、祇儀さんや清澄さんと座談会のような状態になってしまった。
「祇儀さん、清澄さん。」
「どした、急に改まって。」
「俺・・・祇儀さんと清澄さんの元で働かせてください!!お願いします!!」
思いっきり土下座。
だって、俺は祇儀さんと清澄さんに憧れて、追いかけて、いつかお礼がしたくて・・・
そうやって生きたんだ。だから、気持ちが自然にそうさせたんだ。
俺を・・・
「本日2人目ですね、大王。」
「そうだな(笑)」
祇儀さんは、俺の肩をぐっと強くもって「遊佐君。顔上げて。」いつもと同じように明るい声。
「すんごくつらい仕事だよ。それでも耐えられる?」
「耐えます!耐えてみせます!」
「じゃ、よろしく(笑)」
ニコッと笑う祇儀さんの笑顔。
今も忘れてない。