春河家は今日もドタバタです。
「禮漸君がどんな気持ちで君達に向き合ったか分かるか?」
この問いに弦龍も虎黎も黙り込んでしまう。
「君達に“罪を償って、足を洗ってほしい”って気持ちで、あんなボロボロになるまで向き合ったんだぞ!どうしてそれがわかんないんだ!!」
「もう違うんだよ・・・住む世界が違うんだよ、こいつと!!俺達は!!」
弦龍の怒りのこもった言葉が、祇儀にぶつけられていく。
苦しい叫びが、身体から抉り出すかのように出来た言葉をどんどん、どんどんぶつけられていく。
「俺達に仲間も家族なんてもんもねぇんだよ。生まれたときからずっとな。家族が何だよ、仲間って何だよ、死ねばいいんだよ、お前らみんな!」
「簡単に死ねって言うんじゃない!!」
逆鱗に触れたかのように怒りを表す祇儀。その様子に清澄も驚きを隠せなかった。
「生きたくても生きられなかった奴だっているんだぞ!」
その言葉の後、車両内の音は無くなった。数分の沈黙の後、祇儀は再び口を開く。
「本来なら、死罪に相当するんだが・・・」
落ち着きを取り戻し、言葉を選びながら祇儀は清澄に対して「起きてる?」と尋ねた。
「起きてますよ、お二人とも。」
清澄はそういいながら、禮漸と隼丸を座らせる。意識が朦朧としている禮漸は、ぼやっとした視界で目の前の光景を見つめる。隼丸はずっと下を向いたままである。
「隼丸、禮漸君。彼らの罪は君達が決めなさい。」
「だ、大王様、それは・・・」
清澄はその言葉に驚きながら、止めに入る。しかし、祇儀は頑として聞き入れようとしなかった。