氷結世界と月光姫《つきのひめ》
「……まったく、デタラメすぎるわよねぇ、こんな世界」

彼女はあきれたようにため息をつき、さらりと髪を耳にかけた。

そういった、ちょっとした仕草でさえも、彼女なら絵になる。羨ましいことこの上ない…。


「目覚めたらいきなり別世界みたいなところにいたーーなんて、びっくりしたわよね」

「そ、それはもう……」

ビビりましたよ。すぐに落ち着けたのが奇跡なくらい。

「ま、この場にいる全員が起きたら詳しく話してあげる。
あたしたちのおかれている状況+さっきまでで調べたこの世界の情報を、ね。」


「ぜんいん……?」

わたしはその言葉にキョトンと首をかしげる。ここには、二人だけしかいないんじゃ…。

彼女は驚いたような顔をして、前方を指差した。



「あれのことよ、気づいてなかった?」



指差す方へ目を向けると、



そこには、男の人が二人。
眠っているよう……?



――――へ?


男の人が……二人?



えっ、わたしたちだけじゃ、なかったってこと……!?

ぜんっぜん気づかなかった!

(ってか、眠り子の実験適格者って、けっこういたんだ……!?)


そりゃそうか。なにも、わたし一人ってわけはないよね……。
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