氷結世界と月光姫《つきのひめ》
まだなにかを話しているヒロトさんたちはおいておいて、わたしは、まだ眠っているようすの男の人に近づいていった。


その行動に特に意味はなかったんだけど…、

なんだろ、好奇心?


「…………」

氷の上に寝そべる男の人。

すうすう…、と規則的な寝息が聞こえる。


「やばい……この人、寝顔だけで美人」

わたしは思わず心の声を出してしまった。

今までの二人といい、この人といい……。なんで世の中にはこんな綺麗な人が…。

わたしみたいなブスに対する嫌がらせか!?
神様、あんた、いじわるすぎるわぁっ!


そっと顔を近づけてみる。
けど、その人が起きるようすは全くない。


女子のあたしよりも長いまつげ。
茶髪のやわらかそうな髪は、目に少しだけかかるくらいの長さ。
肌も白くてきめ細かくて、パッと見、女の子みたいだ。

けど、手とかは完全に男の人のそれで。



「…………ほぇ……」


わたしは眠り姫のようなその人に見いってしまった。

眠り姫……は、例えがおかしいか。姫じゃなくて、どっちかと言うと王子だしね。
けど、わたしのなかではぴったりくる言葉だ。
< 19 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop