氷結世界と月光姫《つきのひめ》
寝起きのようなもうろうとした頭で、思う。
永い永い間、眠っていたような気がした。


それにしても、ひどく寒いところね…………。


まるで、冷凍庫の中のような温度。例えとかではなく、本当に寒い。

わたしはふと顔をあげ…、視界に飛び込んできたた光景に絶句した。



「…………っっ!?」




そこに広がっていたのは、果てしなく続く銀色の世界。

氷と雪で創られた、真っ白な世界。


ふわふわと輝きながら舞いおちる、羽のような、重さのない粉雪。

薄く降り積もったそれは、まるでヴェールのようにキラキラと輝いていて。


純白の雪が、わたしに向かって落ちてきては、するりと溶けていくーー。


「……っ、ぁ」



そう……か。そうだった。


脳裏をよぎった過去の記憶が、わたしを冷静にさせる。

氷の世界にいるワケを思い出させてくれた。


そうだ…。《眠り子》計画のこと、すっかり忘れてた。


わたしは鮮明に過去を思いだし、徐々に落ち着きを取り戻す。


そうか……それならぜんぶ納得。



この世界はきっと、氷河期真っ只中の地球ってワケでしょ?
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