マンガみたいな事が起きました。*続*
「でもね、ただの授業はしないつもり。
私の話を聞いて少しでも進路に繋がったら嬉しいです」
相変わらずの女子たちの反応。
最初の頃はむかついて名前すら覚えたくなかった。
男子たちの反応はいいのか悪いのか、
こんなはずじゃなかったんだけど。
「私は高校時代、ある男子と付き合ってました。みんなの中にもそういう人いるよね?」
そう問いかけるとあちらこちらで声が挙がる。
「高校生って子供でもない。
だからと言って大人でもない。
そういう時間を味わえるのってすごく素敵なことだと思う」
恋以外にも、
友情や勉強や様々な行事
高校生だから味わえる時間
「大学で私は英語を勉強してる。
でもね、ただ英語を読んで書いてだけじゃないわ。
例えば、外国人と日本人の文化の違いや感覚の違いを学んだりする。
ある国の留学生が来てたの。
その留学生の国は経済格差がすごかった。字を書けない子、読めない子、学校を知らない子、たくさんいるの。
私はそういう国について話を聞く度に思うのよ、日本で良かったって」
日本は内争もない。
人種差別も宗教的な戦争もない。
幸せな国だと思う。
「だからね、みんなには学校の楽しさを知ってもらいたい。
学校に来たい、そう思ってても来れない子供たちのためにも頑張ってほしい。
だから、私は……日本の子供たちに学校の素晴らしさを教えられる教師になりたいと思います」
いつの間にか渉さんが教室にいて、
私に拍手をくれた。
それに続いて生徒も拍手をくれる。
みんな、ありがとう。