空の彼方
部活が終わって自主練をしていると、またアイシングバッグを持った早瀬が来た。
体育館にはもう俺と早瀬しかいない。
「膝の調子どう?
違和感あったり、痛みとかあったりしない?」
毎日毎日早瀬はこうやって俺の膝のことを心配してくれる。
もっと自分のために時間を使えばいいのに。
一緒にシュート練をしてみんなが体育館を出てくのを待ってから氷を取りに行ってくれる。
マネージャーって普通ここまで世話を焼いてくれるもんなのか?
「……ねぇよ。いつもと何にも変わらねぇ。
いつもいつも聞かなくていいから」
今まで痛みを本当に感じなかったから、何も気にせず答えてきたけど
痛みを感じてから聞かれるのは初めてで……。
こんなに自分にしてくれる早瀬と俺は痛みを感じたら無理をしないって約束したのに
今日初めて嘘をついてしまったんだ……。