【短編】紅蓮=その愛のかたち
1
ナホミはもうすっかり薄暗くなってしまった部屋の片隅で身じろぎもせずにうずくまっていた。
少しでも気持ちの高ぶりを押さえようと、元彼が残していった、 クラシックレコードの棚から、一枚を選んだ。
震える指でターンテーブルに乗せる。
音楽の好きだった、元彼が何よりも大切にしていたものだ。
「CDの音なんて、音楽じゃない」
そんな風に、音源にまで、こだわっていた彼のレコードだが、別れた今も、ここにある。
彼とは、半同棲のような生活を始めて一年半ほど過ぎたある日、彼はナホミの部屋から突然に、消えた。
携帯電話も繋がらなくなった。
「命よりも大切なんだ」と撫でるように慈しんでいた、レコード達も置いたままで・・・。
いつか、彼が帰ってくる日の為に、レコード達を捨てることはしなかった。
「まるで、人質ね」
そんな風に言う、友達もいたけれど。
後に、元彼は山中で、自らの命を絶っていたと、風の便りに聞いた。
「一通の遺書が遺されていた、だけだった」とも。
少しでも気持ちの高ぶりを押さえようと、元彼が残していった、 クラシックレコードの棚から、一枚を選んだ。
震える指でターンテーブルに乗せる。
音楽の好きだった、元彼が何よりも大切にしていたものだ。
「CDの音なんて、音楽じゃない」
そんな風に、音源にまで、こだわっていた彼のレコードだが、別れた今も、ここにある。
彼とは、半同棲のような生活を始めて一年半ほど過ぎたある日、彼はナホミの部屋から突然に、消えた。
携帯電話も繋がらなくなった。
「命よりも大切なんだ」と撫でるように慈しんでいた、レコード達も置いたままで・・・。
いつか、彼が帰ってくる日の為に、レコード達を捨てることはしなかった。
「まるで、人質ね」
そんな風に言う、友達もいたけれど。
後に、元彼は山中で、自らの命を絶っていたと、風の便りに聞いた。
「一通の遺書が遺されていた、だけだった」とも。