Special to me
『社長の秘書は、もう板についた？』

花村が聞く。

「板についたも何も、ゴルフには付き合わされるし、散々だよね。体力勝負だよ」

『ゴルフ好きだから、一石二鳥じゃん』

溝口が焼き鳥を頬張りながら言う。

「あのね、1日中社長に振り回されて、いろんなところ同行したり、資料作ったり、届け物をしたりで雑用ばっかりなのよ。いいことの方が少ないんだから」

『おや、じゃぁ、そんなにお忙しいならいつまで経っても彼氏はできないか』

恵美加がそう言って笑った。

「私、こうなるくらいなら営業やればよかった」

『おい、そんな簡単に言うなよ。営業はそんなヤワなもんじゃねーぞ』

桐生が仏頂面になる。

『そうそう、広告局なんて、1度の商談で億単位の金が動くことだってザラなんだから』

谷重が桐生に乗っかる。

「はいはい、分かりましたよ。私はその皆さんがしっかり働いて、首尾よくお給料を支払ってもらえるように社長を持ち上げ続けますから」

あ～、つまんない。
ヤケ酒だぁ～。
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