Special to me
私に気付いて微笑んでくれたのは一瞬。

その後は電車に乗り込み、走って車内を確認する。
ダイヤが乱れているため、急がないと間に合わないようだ。

私がプレゼントしたマフラーをしてくれているのは嬉しかったけど・・・それでは間に合わないくらいの寒さ。

私はこのまま、ただ家に帰って暖かいご飯を食べて、暖かいお風呂に入って、寝てしまえばいい。
でもその間にも晃樹達は仕事をしているんだ。

この降りしきる雪の中で、家路を急ぐお客様のために。

私は考えた。
どうにかして、役に立てないものかと。

家に向かう駅からの距離、約10分。

私の中で固まった。

まず、家で腹ごしらえ。
次に旅行用のトランクを出した。

『真子、アンタこの雪の中旅行に行くの?』

お母さんが不思議そうな顔をした。

「今から、押しかけボランティアに行ってくる」

そして、家にある食材。
足りないものは途中のスーパーで買い足ししよう。

押入れにある布団乾燥機。
1台だと足りないから両隣の家からも借りた。

計3台をトランクに詰める。
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