Special to me
『帰る?アハハハ。僕たち駅員は、一昼夜勤務と言って、朝9時から翌日の朝9時までの勤務なんです。その間に昼休みや夕飯の時間、お風呂の時間、仮眠の時間を交代で取るのです。ですから、僕は明日・・・もう今日ですけど、とにかく朝9時まではここにいなければなりません』

帰れないと言っても、今現在、駅は閉まっているわけだよね。

「と、言うことは、今、米原さんは仮眠の時間?」
『そうですね。助役さんに最後の消灯と、あなたのことを頼まれましたから、早番の人が仮眠から起きるまでは僕の好きに使える時間ですけど、基本的には寝なきゃいけませんね』

そうですよ。

だって、このまま寝ないで朝から仕事するなんて辛すぎる。

「私は、帰ります。今少し寝たら、酔いも醒めましたから」

と、立ち上がった。

『ダメです。明るくなるまでここにいてください・・・と言いたいところですが、明るくなるころには始発電車が出ますから、僕が一人であなたを見届けるのは無理です』

すると、私の肩を押して、再びソファーに私を座らせた。

『もう少しだけ、僕と話しませんか?』

米原さんはそう私に言うと、自分はキャスターつきの椅子に腰かけた。
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