Special to me
『来週、真子の親にリベンジしてもいい?』
「うん。でも大丈夫?」
『その指輪に誓って、そして純さんにも応援してもらっているし、迷いはもうないよ』

晃樹は私を腕枕をして、頭を撫でながら、優しくも力強い声でそう言った。

『あと、俺との住まいは、どうする?』

私の左手薬指に填められている指輪を触りながら聞いて来る。

そこで晃樹の前の彼女とのエピソードを思い出した私。

「もしかして、社宅?」
『うん。だから急かす話になってしまって申し訳ないんだけど…』

都内の社宅に空きが出るらしい。

しかし、社宅に入るためには入籍していることが条件。

もし、社宅に入るなら、急がなきゃならないのよね。

でも、こういうのって、すぐに決めてしまっていいのかな。

「ねぇ、晃樹はどう思っているの?」
『俺は…』

晃樹はひと呼吸置いた。

『真子の意見を尊重しようと思っているよ。通勤の関係もあるだろうし、何より、社宅だと人付き合いにも気を使うだろうしね』

晃樹の言う意見は、何か違う気がした。

これって晃樹自身の意思がまるで入っていない。
< 145 / 255 >

この作品をシェア

pagetop