Special to me
『正月、結局ドタキャンすることになっちゃったしさ。真子にお詫びしたいって、母が何度も言っているんだ』
「お詫び?」
『優柔不断な息子で申し訳ないって、そう言われると思うけど、今から会ってくれないかな、うちの母に』

どうしよう。

一気に緊張してきた。

「私が粗相しないようにしなきゃ」
『真子はそのままでいいの。リラックスして』
「そうやって私を甘やかすんだからぁ」

そんな私の言葉に晃樹は"アハハハ"と笑った。

でも、すぐに真顔になった。

『さっきの、社宅の話だけど』

「うん」

『真子の意見に基本的には従うけど…俺は、社宅を望むかな』

やっぱり。

でも結論を言うのは簡単だけど、結婚観も聞いてみたい。

『社宅だと、どうしても入籍を急がなければならないから、真子を急かすことになる。心の準備もきちんとできないまま、流れ作業のように進んで行くとなると・・・どうしても前に俺が結婚を断った彼女との時の状況と重なってしまうような気がして、俺の本音をはっきり言えなかった』

晃樹の実家まではそう距離がないはず。

こんな大事な話をするには距離が短いと感じたのだろう。

晃樹は、近くのコンビニの駐車場に車を停めた。
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